アメリカが米中貿易において、より有利に進めるために、大義名分を掲げた上で、中国企業であるHuaweiをエンティティリストに追加しました。このことで、Huaweiがアメリカ企業と繋がりを持つには、全てアメリカ政府の許可が必要になります。アメリカ政府が許可を出すことは実質ないので、完全にHuaweiを締め出したと考えることができます。詳細は「窮地に立たされたHuawei。Huawei Mate30シリーズから心機一転か。」をご参照下さい。
アメリカはHuaweiに実質経済制裁を下すだけではなく、中国に対して関税25%とかなり税金を高くしています。つまり中国からの輸入物を減らす。アメリカ国内で中国製の製品の価格が高価格化することからも、売上を減少させようとしていますが、これに対して中国もアメリカ製に対して関税を25%に引き上げています。
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また中国は関税を25%引き上げるだけではなく、GizChinaによると、アメリカに対抗して独自のエンティティリストを作成する可能性が高いとしており、中国の商業省のスポークマンであるGao Feng氏は以下のような発言をしていることが判明したとしています。
Foreign enterprises, organizations, or individuals that do not comply with market rules, deviate from a contract’s spirit, or impose blockades or stop supplies to Chinese enterprises for non-commercial purposes, and seriously damage the legitimate rights and interests of Chinese enterprises, will be included on a list of ‘unreliable entities.’
市場規則を遵守しない、契約の精神から逸脱する、または非営利目的で中国企業に封鎖を課す、または供給を停止する、ならびに中国企業の合法的権利および利益を著しく損なう外国企業、組織、または個人は、 エンティティのリストに含まれます。としています。
これはあくまでも建前であり、中国はHuaweiの報復としてAppleは標的にする可能性が高いと予測されています。この場合、Appleが最も影響が出る可能性が高いのは中国国内でApple製品を製造できなくなるということです。少なくとも主力製品であるiPhoneに加えiPadは中国国内で製造されています。
ではなぜAppleは中国でiPhoneを製造しているのか。一昔前は中国国内での人件費が安かったこともあり、多くの企業は中国で生産するようになりましたが、Appleは人件費もそうですが、工場を空港に隣接して建設する許可や、その一帯を経済特区にしてもらい、税金を安く抑えることに成功し、さらに工場での働き手を中国政府が積極的に募集するなど、Appleが工場を建造するにあたって、中国からかなり手厚い待遇を受けたことが大きな要因だとされています。
だからこそ、人件費が高騰している中国で、今でも製造を継続していると判断することができます。つまりAppleはこれ以上ない条件で中国に誘致されたわけであって、逆に言えば、中国と同じ条件で製造できる工場を他の国に移行するのはかなり難しいとも言えます。
一方でAppleの最大のサプライヤーであるFoxconnは、アメリカと中国の緊迫した関係に危機感を抱いており、少なくともAppleを手助けするために動き始めたとされています。その一つが、中国にある工場の生産ラインの25%をアメリカ国内に移すことを計画しているとしています。少なくとも25%程度移行することができれば、アメリカ国内での需要にも十分に対応できるとしています。
アメリカ国内で生産をすれば、少なくとも中国で生産した場合に発生する関税の心配をする必要性はありません。ただアメリカ国内に工場を建設するコストや、新たに発生する人件費や維持費などをどのように補填するのかは判然としない状況にあります。ただ一つ言えるのは、Appleが傾けばFoxconnも傾きます。このことからもFoxconnは意地でもAppleをサポートすると判断することができます。
早くも今年の9月に発表されるiPhone XIシリーズのデザインやスペックの一部が判明していますが、まずはこのiPhone XIシリーズが無事に生産され、さらに出荷されるのかそっちのほうが心配です。これ以上米中貿易の悪化で、スマートフォン市場における世界2位と世界3位のベンダーが傾くことは避けてほしいところです。
via GizChina
執筆者: Gazyekichi
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